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カルチャーフィット採用の意味と面接での質問例

清水直樹
清水直樹
本記事ではカルチャーフィット®採用の意味と面接での質問例などをご紹介していきます。対象読者は中小・成長企業の経営陣の方になります。ぜひご活用ください。

 

カルチャーフィットの意味とは?

カルチャーフィット®(採用)とは、個人の態度、価値観、信念が組織のコアバリューやカルチャー(企業文化)に沿っている人を積極的に採用していくという意味です。カルチャーは戦略よりも大事、と言われており、そのカルチャーを維持するうえでも、採用時点でカルチャーフィットする人を入社させていくことは非常に大切になります。

特に中小企業や成長企業の場合、ひとりの採用が会社全体に与える影響がとても大きいです。そのため、カルチャーフィットしない人を入れてしまうと、文化の維持がとても難しくなるのです。

カルチャーフィットは戦略実行の上でも大事

企業文化は戦略を食べる(culture eats strategy for breakfast)と言われており、いくら戦略が優れていても、それを動かすメンバーの文化が悪ければ実行されないのです。そのため、文化を守るための採用の重要性は高いと言えます。

 

カルチャーフィットの”カルチャー(企業文化)”とは何か?

カルチャーフィット採用を実践していく前に、そもそもカルチャー(企業文化)とは何か?を理解しておかなくてはいけません。なぜならば、カルチャーに関する正しい理解がないと、

なるほど、カルチャーフィットか。仲良くなれそうな人を雇えばいいんだな。

と勘違いしてしまうからです。仲良くなれそうな人を雇うというのは、いわゆる”ビール・テスト”などと呼ばれています。一緒にビールを飲みに行けそうな仲間かどうか?で採用の可否を判断するというものです。これはこれで採用の際の基準として使えるかもしれませんが、カルチャーフィットとは異なります。

 

カルチャーフィット≒仲良し集団

ビールテストに受かった人たちを採用すればいいと考えることのリスクは、たとえば、以下のような人たちを優先的に採用してしまうことにあります。

  • 同じ学校出身の人
  • 同じスポーツをしていた人
  • 同じ出身地の人

採用の時に、面接官と候補者に上記のような共通項があれば話が盛り上がり、”この人とは一緒にビールが飲めそうだ”となり、採用を決定してしまうことになりますね。しかし、これでは単なる仲良し集団ができるだけです。たしかにお酒を飲めば話が盛り上がるかもしれませんが、会社を運営していくうえで、それでOK、ということにはならないのです。

 

カルチャーはどのようにして生まれるか?

では、カルチャーはどのように生まれるのでしょうか。これには様々な議論がありますが、基本以下の要素があります。

カルチャーの構成要素①コアバリュー

その会社が大切にしている基本的な価値観。創業メンバーの個人的な価値観から派生し、会社のコアバリューとして定義される。会社における理念体系の一つ。

コアバリューに関する詳しい説明は以下から。

コアバリュー完全ガイド(意味や例、作り方まで)

 

カルチャーの構成要素②構造

組織の構造や人事制度等、コアバリューから生まれたその会社における様々な構造。構造が社員の動機づけに影響を与え、行動を変え、文化を形成する。

中小企業の組織図の作り方を完全解説

 

カルチャーの構成要素③人工物

オフィスの外観やレイアウト、ロゴや商品パッケージ、制服等々。会社のカルチャーというと、シリコンバレーのテック系企業によくあるビリヤード台などを思い浮かべるが、これが典型的な人工物。

 

カルチャーの構成要素④象徴的行動

カルチャーは、その文化をよく表している象徴的な行動を繰り返すことによって、強化されていく。

 

企業文化を完全解説

 

このように見ていただくと、単に仲良くなれそう=カルチャーフィットとはいかないことがわかると思います。

カルチャーフィット採用を実現するには、その人が自社の価値観を共有できる人物かどうかが何よりも大切です。仲良くお酒が飲めるからと言って、価値観が合うというわけではありません。

 

カルチャーフィットとスキルフィット。これまでの採用基準との違い

カルチャーフィットはここ数年くらいで使われ始めた言葉ですが、これまでの採用基準と何が違うのでしょうか。これまでの採用でも、その人の”人物”そのものも評価されることがありますが、どちらかというと、その人のスキルや経験を基に採用されることが多かったのではないでしょうか。

採用する職務に必要とされるスキルを持つ人を採用することを、”スキルフィット”と言います。スキルフィットはカルチャーフィットの反対語と言われることもありますが、正確には両者は補完しあうものと考えたほうが良いでしょう。

いくらカルチャーフィットしていても、その職をこなすスキルがなければ活躍のしようがありません。ただし、スキルは入社してから身に付けられるものの、その人の価値観は変えようがない、ということもあり、優先させるべきはカルチャーフィットだという考えもあります。

スキルフィットとカルチャーフィットの考えるうえでよく利用されるのが、次のマトリックスです。これは採用時だけではなく、人事評価時にも使われるマトリックスになります。

①の人は即採用なのはわかりますね。②の人はスキルが足りないのですが、それを入社してから伸ばせる余地があるか?教える仕組みがあるか?が採用の基準になるでしょう。

③、④の人はカルチャーフィットしないので、カルチャーフィット採用を進めるのであれば、NOということになります。

ちなみにこのマトリックスですでに在籍しているメンバーを評価する場合、一番厄介なのは③の人です。③の人はカルチャーフィットしない割にスキルが高く、成果を出しています。そのため、カルチャーに合わないことをしていても、周りのメンバーや上司も意見をしにくいのです。しかし、そのまま放っておくと、長期的には会社全体に悪影響を及ぼしがちになります。

そういう意味でも、カルチャーフィットを採用時に見極めることが大切と言えるでしょう。

 

カルチャーフィットと多様性の両立

コアバリューを決めて、それに合う人を雇う、ということだと多様性が失われてしまい、イノベーションの妨げになるのではないか?という疑問が出てきます。これはカルチャーフィット採用を推進していくときのワナともいわれています。

社内には多様な人がいたほうが良い、というのは一見すると非常に理にかなった話に思えますね。では多様性とカルチャーフィットをどのように両立すればよいのでしょうか?

「ビジョナリーカンパニー」著者のジムコリンズ氏は、「Beyond Entrepreneurship(未翻訳)」の中で、この件について触れています。

ジムコリンズ氏の主張は、社員のスキルや背景には多様性があったほうが良いが、コアバリューの多様性は避けるべきであるというものです。

これは多様性とカルチャーフィットの矛盾を解決する非常に良い考え方だと思います。

経歴や年齢、性別、人種等の多様性は認めるべきだが、何を正しいと考えているか?という価値観はあってはいなければいけない、ということです。

ネットフリックス社長のバイブル!ジムコリンズの隠れた名著「Beyond Entrepreneurship」を要約。

 

カルチャーフィットを見極めるための面接質問

これまでカルチャーフィットの重要性をお伝えしてきましたが、では、実際にどのようにしてカルチャーフィットする人材を見極めればよいのでしょうか?

カルチャーフィットする人材≒価値観が共有できる人材

ということになりますので、何よりその人がどのような価値観を持っているのかを判断するための面接が必要になってきますね。

よく使われる面接質問としては、STAR型のものがあります。

これは、Situation(状況)Task(課題)Action(行動)Result(結果)の頭文字をとった言葉です。S→T→A→Rの順番に、過去の行動について質問をすることで、その人の特性や価値観、行動の動機などを把握できます。

  • Situation(どんな状況?)
    • 状況、環境、背景、目標、きっかけ、チーム体制など
  • Task(どんな課題や役割を担ったか?)
    • 課題、職務、任務、役割、難易度など
  • Action(具体的にどんな行動を取ったか?)
    • 具体的な行動、その理由、周囲からの助言、創意工夫、軌道修正など
  • Result(どんな結果を導き出したか?)
    • 結果、成果、学んだこと、いま振り返って改善すべきことなど

この流れを使いながら、自社のコアバリューを共有できる人なのかの質問リストを作っていきましょう。以下にはカルチャーフィット採用に力を入れているザッポス社の質問例を挙げさせていただきます。

ザッポス社のカルチャーフィットのための面接質問例

1.サービスを通じて感動を届ける(Deliver WOW Through Service)

  • あなたが経験した中で最悪のカスタマーサービス体験は何でしたか?どのように対処しましたか?それはあなたの見解を変えましたか?
  • これまでで最高のカスタマーサービス体験を得たのは何ですか?何がそんなに特別なのですか?
  • 会社の方針で素晴らしいサービスを提供できなかった時代の例を挙げてください。ルールに従う必要がなければ、あなたは違った方法で何を行ったでしょうか?
  • あなたは現在の仕事における他の従業員とは何が違いますか?
  • あなたが今までに受け取った最高の賛辞は何ですか?賛辞についてどのように感じましたか?

 

2. 変化を起こし、喜んで受け入れる(Embrace and Drive Change)

  • あなたが大多数の視点に同意しなかった時について教えてください。結果はどうでしたか?
  • 職場や仕事で発生した大きな変更について説明してください。その変化にどのように適応しましたか?
  • 多くの時間とエネルギーを費やしたプロジェクトやタスクが失敗した経験について教えてください。次に何をしましたか?
  • アイデアをチームに提示した時のことを教えてください。どのような反応でしたか?
  • 自分が変化しなければいけない時を知るにはどうすればよいでしょうか。

 

3.楽しさと少し風変わりなものを作り出す(Create Fun and A Little Weirdness)

  • あなたは何に情熱を注いでいますか?(あなたの趣味は何ですか?)
  • 同僚とチームワークを促進するための活動やイベントを計画する場合、あなたはどこからスタートしますか?
  • 現在または以前の職場では、楽しさや改善を生み出すために何をしましたか?
  • 日々の仕事の中で一番楽しかったのは何ですか?
  • 一生懸命働き、一生懸命遊ぶ仕事環境について、その組織の長所と短所についてあなたの見解を教えてください。

 

4.冒険し、クリエイティブに、そして心を開く(Be Adventurous, Creative, and Open-Minded)

  • あなたが職場で障害にぶつかった時について教えてください。障害と最終的な結果は何でしたか?
  • あなたが行ったリスクが大きい決定は何ですか?状況はどうでしたか?どうされましたか。
  • あなたがこれまでやったことのない仕事、やる方法がわからない仕事に直面したときについて教えてください。その仕事をどうこなしましたか?
  • あなたが取り組んできた最も創造的なプロジェクトを説明してください。あなたの貢献は何でしたか?プロジェクトはどのように評価されましたか?

 

5.成長と学びを追い求める(Pursue Growth and Learning)

  • 方向性が見えないプロジェクトの例を教えてください。あなたはそれについてどのように感じましたか?
  • 前回、上司や同僚から受けたフィードバックは何でしたか?あなたはそれをどう思いましたか、そして改善するために何をしましたか?
  • この仕事はあなたの長期的なキャリアプランに影響を与えますか?
  • 自分で設定した目標について教えてください。あなたがそれに向かってしたことは何ですか?現在の会社ではトレーニングを提供していますか?あなたが受けたトレーニングはなんでしたか?あなたは何を学びましたか?

 

6.コミュニケーションでオープンで嘘のない関係を構築する(Build Open and Honest Relationships With Communication)

  • 同僚同士が反発しあった経験について教えてください。どのように解決しましたか?
  • 職場で、自分の行動やコミュニケーションのスタイルを変化させなければならなかった時について教えてください。
  • 仕事で助けを求めた経験について教えてください。助けを求めることについてどのように感じましたか?
  • 何かを伝えようとして職場で誤解されていると感じた時のことを教えてください。どのように処理しましたか?
  • 以前の仕事では、他の同僚との関係をどのように築きましたか?

 

7. 積極的なチームとファミリースピリットを作り出す(Build a Positive Team and Family Spirit)

  • それはあなたの本来の仕事ではないにもかかわらず、あなたが同僚を助けた経験について教えてください。
  • チーム/グループで作業していて、1人のメンバーが積極的に参加していなかった経験の例を挙げてください。あなたは何をしましたか。
  • チームでの作業で直面した最大の課題は何ですか?どのように処理しましたか?
  • あなたが取り組んだ最も好きなチームプロジェクトは何ですか?
  • あなたが許せない同僚の行動はどんなものですか?誰かがそれをやっているとき、あなたはそれをどのように処理しますか?

 

8. 少量で多くをこなす(Do More With Less)

  • 仕事を与えられたが、仕事を完了するために必要なツールを持っていなかった経験について教えてください。何をしましたか。
  • どのような条件下であれば、あなたは最高の仕事を出来ますか?
  • より効率的にしたい、または排除したい現在のタスクは何ですか? そのためにどのように取り組んでいますか?
  • この1年で自分をどのように改善しましたか?

 

9. 情熱的に、意志を固く(Be Passionate and Determined)

  • 不可能な仕事が割り当てられていると感じたらどうしますか。
  • 自分が信じているもののために戦わなければならなかった経験について教えてください。どうされましたか?
  • 仕事のモチベーションを「オフにする」ものは何ですか?
  • あなたは何を最も誇りに思っていますか?
  • 楽しくない、挑戦的でない仕事を完了するために、あなたはどのように自分を動機づけしますか?

 

10. 謙虚に(Be Humble) 

  • 他の人や地域社会を助けるために何かをした経験を教えてください。
  • あなたの最大の強みは何ですか?その強みは、このポジションでどのように役立ちますか?
  • 仕事で最も重要なことは何ですか?最も重要でないことは何ですか?
  • 誰かがあなたの伝記を書くとしたら、そのタイトルは何になりますか?また、それはなぜですか?
  • これまでに受け取った中で最も役に立ったフィードバックは何でしたか?同意しなかったフィードバックは何ですか?

 

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