経営理念を浸透させる方法8つ
清水直樹
清水直樹
「理念が浸透しない」は、経営者の共通の悩みですね。会社を創業して一番最初の悩みは売り上げが上がらないということですが、その次のステージの悩みは、理念が浸透しないということでしょう。そこで今日は理念を浸透させるには?というお話をしていきます。

動画でも解説しています。

 

「理念が浸透しない」は、経営者の共通の悩み

経営者の悩みは、創業当初は、十分なお客様がいないとか、十分な新規の顧客が獲得できず、売上が上がらないことです。

そのステージを越えてくると、人が増えてくるわけですね。社員であったりとか、派遣社員だとかパートとかアルバイトとか社内のメンバーが増えてくるんですけれども、そうすると出てくる悩みが「理念が浸透しない」ということですね。

売上は上がってるんだけれども、自分が思ってるようにみんなが働いてくれない、自分が思っているように組織が機能しなくなってきます。

そうするとだいたいの社長は、理念がないからこういうことが起こるんだなということで、理念を作るわけです。しかし、作ったもの形骸化してしまって、なんの変化も起きず、理念が浸透しないという悩みに突き当たるわけです。

 

理念とは何か?

まず、理念そのものについてのお話をしていきます。

理念とは、

組織の存在意義や使命を、普遍的な形で表した基本的価値観の表明

ということです。ちょっと分かりづらいですね。より具体的に言うと、

  • MISSION(存在意義)
  • VISION(将来の自社のあるべき姿)
  • CORE VALUE(働く上で大切にしている価値観)

これらを総称して理念と呼んでいます。

▶ミッション、ビジョン、バリューの詳細はこちらから

 

理念が浸透している状態とは?

その上で、これから理念を作りたいとか、もしくは理念を浸透させるためのプロジェクトを始めたい方は、まず終わりの状態、つまり、理念が自社に浸透している状態はどういう状態なのかを想像するところから始めるといいいんじゃないかなと思います。

1つの参考としては、松岡さんという方が定義づけしている4段階をご紹介しておきます。

1.言葉の存在を知っている。言葉を覚えている。

2.理念を象徴するような具体例を知っている。実際に自分で経験したことがある。

3.理念の意味を解釈できる。自分の言葉で言える。

4.理念を行動に結び付ける。行動の前提となる。こだわる。

引用元:松岡久美(1997)

 

 

理念が浸透していない状態とは?

逆に、理念が浸透していない状態とはどういうパターンなのかということを考えてみましょう。

理念が浸透していないというのは、社長の思うようなやり方や基準で仕事が行われていないということですね。

例えば、社長が創業して最初は自分で営業しているわけですよね。商品とかお客さんが増えて営業担当者を雇いましたとなった時に、その営業担当者が社長がやっていたようなやり方でやってくれないということですね。

例えば提案の一部が欠けていたり、お客さんに対して言葉遣いが悪かったり。社長が今までやってきたようなやり方と違うやり方でやっているという状態です。

これは社長がジレンマを抱える部分になります。人に任せたいんだけれども自分と同じようにやってくれないので困っていると。こういう時に理念が浸透していないなと社長は思うわけです。

基準というのも大事です。やり方は同じようにやっているんだけれども、十分にやり切れていないなということですね。例えばお店を経営されているとして、お店の掃除の仕事を社員の人がやってくれるんだけれども、どうも掃除の基準が低い。例えば細部にホコリが溜まっているとか、細かいところができていないとか。そんな感じで社長が思っているような高い基準での掃除ができていない状態ですね。

こういう時にも社長は、理念が浸透していないなと感じるんじゃないかと思います。

というわけで、理念が浸透していない状態とは、やり方と基準が社長の思う通りになっていないということかなと思います。

 

結論:理念を浸透させるには「やり方」と「基準」を共有すること

最初に結論からお伝えしますと、理念を浸透させるには、理念に基づく仕事のやり方と基準を文書化するということです。

先述した理念が浸透していない状態は、社長が思っているようなやり方や基準で仕事が行われていないということなんですが、なぜそうなるのかというと、社長が思っているようなやり方とか基準が、社員からすると分からないからなんですね。

分からない理由は、それが可視化されていないからなんです。目に見える形になっていないから。やり方と基準が社長の頭の中にしかないわけです。社員の人はそれを察しながらやるのは、できないわけなんです。

そこで、やり方と基準を目に見える形にしていきましょうということです。それに基づいてみんなで仕事をするようにすれば、自然と社長が思うようなやり方と基準で仕事をしてくれるようになり、理念が浸透していない状態を抜け出すことができます。

人の意識はそうそう変わりませんが、仕組みに基づき行動を続けることで、意識は変わっていきます。

 

浸透する理念の策定方法

ではより詳しく理念を浸透させる方法を見ていきます。まず策定方法が大事です。

仮面を被った理念は機能しない

理念が浸透しないというので悩んでいる社長に多くあるパターンとしては、理念が仮面を被っているということです。これはどういうことかといいますと、さっき言った通り、だいたい社員の数が増えてくると、社長は理念を作ろうと思って作り始めるんですけれども、その理念が自分の本心から出ていないということなんです。社長たるもの、経営理念ぐらいは作っておかなきゃいけないとか、これだけの規模になったんだから理念っていうのはあって当然だろ、というような外部からの圧力によって作られた理念です。これを仮面を被った理念と呼んでいます。

仮面を被った理念は、作ったとしても共有するのは難しいです。そこで大切なのが、創業者自身の実際のストーリーから生まれた理念であるということです。

例としてスターバックスの創業者のハワード・シュルツさんの話を引用しましょう。スターバックスの1つの信条として、「働きやすい環境を提供し、社員が互いに尊敬と威厳を持って接する」という文言があります。この文言は、ハワード・シュルツさんが会社たるものこうあらねばならないと思って作ったものじゃないんですね。

実はハワード・シュルツさんのお父さんの話からきています。ハワード・シュルツさんのお父さんは、今でいうブラック企業みたいな会社でこき使われていた労働者だったんですよね。

その姿を見ていたハワード・シュルツさんはお父さんに対する尊敬があまりなかったらしいんですけれども、自分が会社を創って社員の人を雇う時に、昔のお父さんの姿が浮かんできて、お父さんみたいな社員を作っちゃいけないと強く感じたらしいんですよね。

その体験があったからこそ、この理念が生まれてきているということなんです。このストーリーを聞けば、「だからこの理念があるんだ」だとみんな分かるわけなんです。そして、1回聞けば、まず忘れないんですよね。これが本心から出てるストーリーであり、理念になっているわけです。

こういうストーリーがなくて単に言葉ずらだけ、「社員を大切にします」と言っても、なかなか社員の心には響かないし、覚えてくれないわけなんですね。なので実ストーリーから出ている理念であることが大切です。

 

覚えやすさ

次に覚えやすさ。長すぎない、多すぎないことです。理念が10個も20個もあると社員は覚えずらいわけです。そうするとそれを体現することもできなくなっちゃうんですね。

人は選択肢が多いと選択しなくなるという特性があるらしく、理念も多すぎると、それに基づいて行動しなくなることがあります。ですので、覚えやすくシンプルにすることが大切かなと思います。

 

巻き込み力

これも理念を策定する時の話です。理念を浸透させるというと、経営者が作った理念があって、これを社員に植え付けていくっていうイメージがありますね。

それよりも理念を共有するという言葉の方が、本当はぴったりくるんじゃないかなと思います。理念を浸透させるというのは、ピラミッドの上から理念を浸透させていく感じですが、理念を共有するというのは、まず社長自身が思いがあり、それを共有できる仲間をどんどん増やしていくというイメージになります。

そこで、大切なのは、みんなが共有している思いって何なのかを発見していくということになるわけですね。そうすると必然的に最初の作る段階から、ある程度共有されている理念ができますので、社内で共有していくのも簡単になるということですね。

巻き込み力とは、社長が作った理念を浸透させるということではなくて、社員を巻き込んで理念を作っていくことで、自然と共有されるような理念になっていくということです。

 

作った理念を浸透させる仕組み

理念を共有できる人を採用する仕組み

まず採用ですね。採用の段階で、理念を共有できる人を採っていくということです。そもそも採用の段階で理念が共有できない人は雇ってはいけません。採用のミスは後からリカバリーするのは大変なので、採用の段階で間違ってはいけないということですね。

私たちがお勧めしているのはカルチャーフィット採用です。これは自社のコアバリューに合う人を採用するということですね。

そうすると採用の段階で、ある程度、理念を共有できる人が入ってくるので、後の仕組みづくりは簡単になってくるという事かなと思います。

 

理念を体現している人を評価する仕組み

評価の仕組みは経営者からのメッセージです。評価項目を業績とか利益とか売上とかだけじゃなくて、いかに会社の理念を体現しているかを評価の項目に付け加えてあげるということです。

そうすると人は評価されたいと思って行動しますので、理念を体現する行動を自然と取るようになるということです。

 

理念を伝える教育

次、教育ですね。特に新入社員教育は大切かなと思います。最初の段階でちゃんと理念を共有していくということですね。

まず会社として彼らに何を期待しているのかを明確に伝えるということですね。うちの会社には理念があってこういう行動が期待されています、こういう行動を取っていただくと、こういう評価になりますとかですね。

逆に彼らが会社に何を期待しているのかを明確に把握することも大切です。社員個人個人にも人生でやりたいこと、人生で大切にしていることとかあると思いますので、それをちゃんと理解してあげるということですね。

そしてバディ制度、メンター制度。バディ制度は同じ立場の新入社員同士でペアを組ませてお互い学び合う仕組み、メンターは上司じゃなくて別の部署の先輩がその新入社員のメンターになってくれる仕組みです。

あとは、他部署を体験して会社全体がどう動いているのかを学ぶ。

屋根瓦式教育もお勧めです。これは新入社員にベテラン社員が教えるのではなくて、1個前の先輩が教えるということですね。新入社員には2年目の人が教えて、さらに下に入ってきたら、去年新人だった人が教えるということです。

屋根瓦式教育がいいのは、自分の後輩に会社の理念を教えないとけないので、理念を自分の言葉で語れるようにならないとダメだということです。屋根瓦式の教育をやることで自然と理念を自分の言葉で語るようになり、理解が深まっていくということです。

次に営業の仕組みですね。これは営業プロセスに理念を説明するパートを入れるということですね。特にこれはBtoBの時は当てはまると思うんですけれども、説明する時に必ず会社の理念を語るパートを入れるということです。

こうすると、営業の人は1日に何件も自社の理念を語ることになるので、自然と理念を自分の言葉で語れるようになるということですね。

私も会社員の時は営業をずっとやってましたんで、うちの会社はどういう成り立ちで出来上がっていて、どういう思いでやっているかを1日に何回も何回も説明するので、自然と覚えていきました。

 

理念についての情報共有の仕組み

あと情報共有の仕組みですね。理念を定期的に語らう場を創ったり、実体験とストーリーの共有をする場を創ったり、経営者からの情報配信をすること。なんといってもこれが一番大切かなと思います。人は繰り返し言わないと分からないので、ウェブの動画でもいいですし、メールとかチャットでもいいと思うんですけど、そういう場で情報共有を定期的にしていくということですね。

 

理念浸透に大切なのは、理念と毎日の仕事をつなげる仕組み

というわけでいくつか理念浸透のヒントをご紹介してきました。改めて、大切なのは理念と毎日の仕事をつなげるということですね。先述しましたが、理念と毎日の仕事とつなげるために、社長が思っている仕事のやり方と基準をちゃんと文書化して、それに基づいてみんなが行動できるようにしていくということ、これが大切かなと思います。

なお、仕組み経営では、理念の策定から、理念を毎日の仕事につなげ、浸透させていくための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下からご覧ください。

▶社長依存から脱却、仕組みで成長する会社へ

 

 

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