経営の考え方6選

経営を劇的に変える6つの考え方



今日は世界7万社以上の会社を成功に導いた経営の考え方をご紹介します。

ここでご紹介する考え方は、私の師匠であり、世界7万社を支援してきたマイケルE.ガーバー氏が「はじめの一歩を踏み出そう(原題:E-Myth Revisited)」の中で明らかにしたものです。

「はじめの一歩を踏み出そう」は初版が1985年に出版されて以降、世界で700万部以上売れ続けている経営の仕組み化の教科書とされています。

 

経営の考え方①致命的な仮定に陥るな

「はじめの一歩を踏み出そう」の原題であるE-Mythとは、起業家の神話(Entrepreneur Myth)を指します。これは多くの人々がビジネスを始める際に抱く誤解のことです。起業したいという人は、有名起業家達の成功に魅了され、ビジネスを始めることが簡単な道であると誤解してしまうことがよくあります。しかし、実際には、ほとんどのビジネスは専門技術を持っている職人型の経営者によって始められるため、ビジネスの運営に必要なスキルを持っていないことが多いのです。

致命的な仮定

致命的な仮定とは、専門技術を持っている人が、自分のスキルさえあれば、独立開業して成功させることが出来るという誤った仮定です。現実にはビジネスの運営には、専門技術だけではなく、さまざまなスキルが必要であり、それを理解することが成功の鍵となります。

したがって、本書では職人的な経営者から起業家的な経営者への転換が必要であると書かれています。自分の技術を活かすための目の前の仕事に没頭するだけではなく、会社を動かす効果的な仕組みを構築することが成功への道です。会社の仕組み化によって、社員は予測可能な結果を生み出すことができ、それが顧客を満足させるため、経営者がビジネスから離れてもうまく機能します。

 

経営の考え方②Working On It, Not In It(会社の中で働くのではなく、外から働きかける)

自分の職人的な技術を武器に独立開業した経営者は、ビジネスの日常的な運営に重点を置く傾向があります。自分自身であらゆる仕事をこなし、社員を雇っていても、あらゆることに自分で足を突っ込みます。このアプローチは長期的な成功には不十分です。

そこで、Working On It, not in itという考え方を知る必要があります。この言葉は、ガーバー氏が「はじめの一歩を踏み出そう」の中で紹介して以来、世界中のコンサルタントや著者が使うようになった非常に大切なキーワードです。

Working in it (会社の中で働く)とは、経営者が日常業務に没頭している状態を指します。経営者自身が商品やサービスの提供、顧客対応、運営の日常業務に取り組んでいます。

一方のWorking on it (外から働きかける)とは、経営者が会社を俯瞰して捉え発展させることに焦点を当てるアプローチです。経営者はオーナーはビジネスプロセス、仕組み、戦略の設計・開発に時間を費やし、ビジネスを自己発展できるようにします。

Working ONとINの違い

例として、この写真を見ていただきたいと思います。

経営の考え方

 

会社の中で働くとは?

会社の中で働いている人は、この中のパズルを作っている側の人と言えます。彼は一生懸命目の前にあるパズルを組み立てて作っているわけです。パズルはどんどん積み上がっていく。ただ問題は、目の前のことにあまりにも一生懸命になっているために全体像が見えていないということです。

全体がどうなっていて、今自分が全体の中のどこを作っているのか、そしてそれがいつ完成するのか、完成図がそもそもなんなのか、そういったことが見えていないわけです。そこにパズルのピースがあるからとにかくそれを積み上げているだけ。

これを仕事に例えれば、とりあえず目の前に仕事があるからそれをひたすら毎日やっている。それを毎日毎日繰り返して何年も何年もたっているということです。

会社の外から働きかけるとは?

本当は、経営者がやらないといけないのは、この外側にいる人たちの仕事です。

彼らは全体を見て、このパズルを完成させるためにはどの順番でどこを作らないといけないのか、それを知っている必要があるわけです。当然彼らには完成図も見えています。

外側にいる人たちは手足が動いてないので、一見働いていないように見えますが、実は違う働き方をしているわけです。どうやってパズルを作っていくか、どういう順序で作っていくか、どういうふうに人を配置していくか、そういったことを考えているわけです。これがビジネスの外側で働くということです。

もちろん会社が小さいときには自分も仕事をしないといけないので、このビジネスの中で働いている状態になると思います。しかしそのときでも、ビジネスの中で働いている自分を外側から客観的に見る必要があるということです。それができないと、本当に単純に目の前の仕事をこなし続けている、そういった状態になってしまうわけです。

職人としてすごい一生懸命働いている方も多いと思いますが、本当のその働き方でいいのか?と、会社の外側から見る必要があるということです。そうしないと、一生懸命働いているものの、実は間違った働き方を一生懸命やっているだけになってしまうことがあるということです。

 

経営の考え方③会社は関わる人たちの人生の目的を満たした分だけ成長する

会社経営の成功は、関わる人たちの欲求を満たすことにかかっています。これは、会社の原理原則のようなものです。会社には多くのステークホルダーが関与しており、彼らのニーズを満たすことが成長の鍵です。これらのステークホルダーには、顧客、社員、貸主、取引先、そして経営者であるあなた自身が含まれます。

会社経営が成功するためには、これらの人たちが自分の人生の目的を達成できるようにすることが必要です。顧客だけを考えても、社員だけを考えても、あるいは経営者だけを考えても十分ではありません。すべての関係者の人生の目的を満たすようにビジネスを設計することが重要です。これが実現されれば、自然と会社は成長していきます。

択一の考えではなく、全てを満たす

顧客を優先し、経営者自身の幸福が犠牲にされてしまうと、ビジネスに対する情熱を失う可能性があります。同様に、経営者の人生が満たされていても、社員の人生が充実していない場合、顧客に対するサービス品質が低下する可能性があります。実際、顧客と直接接触するのは社員であり、彼らの満足度が低ければ、ビジネスのパフォーマンスにも悪影響を及ぼすでしょう。

取引先の幸福を無視してしまうと、競争力を保つことが難しくなります。無理な要求をしすぎて仕入れ先を怒らせれば、彼らはあなたの企業に商品を供給しなくなる可能性があります。これにより競争力が低下し、市場での地位を失う可能性が高まります。

したがって、会社の成長と成功を実現するためには、関与するすべての人々の人生の目的と欲求を理解し、そのバランスを取ることが重要です。彼らの幸福と満足度を最優先に考え、それを経営計画の一部として組み込むことが、持続可能な成功への鍵です。関わる人たちが満たされる会社は、最終的にはより大きな成功につながることでしょう。



経営の考え方④会社それ自体が作品

これはほとんどの経営者が持ち合わせていない考え方だと思います。経営者にとっての作品は、ひとつひとつの商品ではなく、会社そのものであるという考え方です。

例として、ホンダ創業者本田宗一郎氏を挙げてみましょう。本田宗一郎氏は、多くの商品を生み出し続けました。

それはもちろん素晴らしい作品だったと思いますが、彼の最高の功績は、彼がいなくなった後も成長し続ける”ホンダ”という会社そのものだったのです。
スティーブジョブズ氏も同様です。彼は素晴らしい商品を世の中にたくさん生み出しました。しかし、彼の最大の作品は、素晴らしい商品を生み出し続けるアップルという会社そのものだったのです。
このように、経営者がこの世に残しうる最高の作品は「会社そのもの」なのです。その作品は彼らが去った後も世の中に価値を提供し続けます。
この考えについては、以下の記事をより深く考察しています。

仕組み化が会社の永続性を高める

自分がいなくなった後も、成長し続ける会社を創るには、仕組みづくりが必須です。カリスマ社長の属人的なリーダーシップで会社を引っ張るのでは、良くても一代限りで終わってしまいます。そうではなく、会社を永続的に成長させる仕組みを整えることこそが、現役社長の仕事なのです。

経営の考え方⑤事業の試作モデルを作る

フランチャイズビジネスがこれほどまでに成功を収めた秘訣は、商品を販売する前に試作モデルを作るように、事業にも試作モデルを作るという考え方を取り入れたからである。

(中略)たとえフランチャイズの形をとっていなくても、あなたの周りで成功している会社は、独自に完成度の高い運営システムを持っているはずである。​

​-  マイケルE.ガーバー

事業の試作モデルという考え方は、飲食店、サロン、宿泊施設など店舗系のビジネスをされている方にはわかりやすい話だと思います。

​最初の第一店舗目がまさに、試作モデルになります。まずこの試作モデルの中で、試行錯誤し、うまく行く店舗運営の仕組みを創り上げます。そうして初めて、2店舗目、3店舗目と仕組みを複製させていくことが出来ます。

自社の試作モデルは何かを知る

​一方、店舗以外のビジネスの場合には、自社の試作モデルとは何か?というのがわかりにくいかも知れません。​その場合には、ご自身が行っている一つ一つの仕事が試作モデルだと考えていただくと良いと思います。​

たとえば、私の場合、様々なテーマでセミナーを行うことが多いのですが、それら一つ一つが試作モデルです。まず自分自身でいろいろと試し、セミナーの試作を行います。​

そして、うまく行った方法を定型化すれば”試作モデル”になります。これを他の人でも出来るようにすれば、自分はまた新しい仕事に取り組むことが出来るようになります。​

最初は小さい仕事を試作し、徐々に大きな仕事を試作する、やがては事業ごと試作していくということになります。これが仕事を任せていくことにつながります。

 

経営の考え方⑥会社は仕組みで成り立っている

すべての会社は仕組みで成り立っています。「いや、会社は人で成り立っている」という人もいるかもしれません。しかし、その人も会社内に存在する様々な仕組みに沿って動いているのです。たとえば、皆さんの会社でも朝礼をしているかもしれません。朝礼も会社の仕組みの一つです。その仕組みに沿って社員の方々が動いているのです。

人が仕組みを作り、仕組みが会社を動かす

もちろん、仕組みを作るのは人です。人が作った仕組みが会社を動かします。

ここで問題は、仕組みが経営者の意図していない結果を生み出していたり、仕組みがあることに気付いていないまま悪い結果が出ていることです。

こちらのマトリックスをご覧いただくと、みなさんの会社に既に存在している仕組みは、この4つのパターンに分けることができます。良い、悪いという分け方と偶発的、意図的という分け方でマトリックスになっています。

良い仕組み、悪い仕組みとは?

良い仕組みは、それがあることで会社のビジョンに結びついていく、近づいていく仕組みのことを指しています。一方の悪い仕組みはビジョンの役に立たない、もしくは逆効果を目指してしまっていることを指しています。

目指すべきは、意図的に良い仕組みを創っていくことです。そのために以下の事を考えてみましょう。

  1. 偶発的にできた良い仕組みは文章化することが大切です。文章化しないと忘れてしまうからです。文章化して、会社の資産として残していくことが大切です。
  2. 意図的に作ったけれど、悪い結果が出ている仕組みがあります。これは改善するしかないので、なぜその悪い結果になってしまっているのか反省して、良い結果が出るように改善していきます。
  3. 偶発的にできてしまった悪い仕組みは一番厄介で、悪い仕組みがあるということを認識しないといけません。

 

以上、3つの方法で右上の仕組みを作っていくことができます。新しく仕組みを作るのも大事ですが、それ以前に自分たちの会社には常に仕組みが存在していることを理解した上で、3つの方法で意図的に良い仕組みを作っていくのが最初に取り組むべきことです。

 

まとめ:経営者が考え方を変えれば会社は変わる

以上、経営の考え方についてみてきました。会社は経営者が考え方を変えるだけで良くなります。社員を変えようとする前に、経営者自身が考え方を変えるだけでいいのです。ここでご紹介した考え方は、世界中で効果が実証されているものです。ぜひ実践されてください。

なお、仕組み経営では、ここでご紹介した考え方を基に、会社を仕組みで成長させていく方法をご紹介しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

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