Googleから学ぶミッションとカルチャーのもたらす成長



Googleは、ご存知の通りGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)で知られる主要IT企業4社の1つです。また、最もイメージが優良なIT企業として毎年ランキングされ、社員の「働く満足度」が高いことでも有名です。

今回はGoogleの掲げるビジョンやミッションをご紹介しながら、それらに基づく企業カルチャーが、どのように自社の成長に結び付いているのかを見ていきます。

Googleのミッション

Googleはミッションを

Our company mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.

「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです」と掲げています。

私たちが毎日の暮らしを送るうえで、Googleのサービスを利用しない日はないと言っても過言ではないでしょう。日々進化し続けるIT業界の中で、なぜ、これほどまでにGoogleが提供するサービスは信頼されるのか、その源泉となっているのが、このミッションなのです。

 

Googleのビジョン

そしてビジョンを

To provide access to the world’s information in one click.

「ワンクリックで世界の情報へのアクセスを提供すること」と定めています。

ミッションで掲げた「世界中の情報を整理」した後、Googleが何を目指すかがここで語られています。整理された情報を、誰もがワンクリックで簡単にアクセスできるようにする、つまり、情報に対する「機会の平等」を提供しようという、Googleの世界観の表れでもあります。

 

Googleのコアバリュー

さらにGoogleは、ミッションやビジョンを具現化するための「10の事実」を掲げています。これは「哲学」「行動指針」と言い換えることができるものです。

1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。

Googleは、ユーザーの利便性を第一に考え、収益ではなくユーザーを重視する企業でありたいということがミッションでも語られてきました。また、新しいツールやアプリケーションを開発する時にも、完成度の高いデザインを目指す、その姿勢がこの言葉に込められています。

 

2. 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。

Googleは、検索問題を解決することだけに焦点を置いた、世界最大級の研究グループを有しています。自分たちにできることは何か、それをもっとうまくやるにはどうすればいいかを追求するために、絶え間ない改善を続けるという哲学が表れた言葉です。

 

3. 遅いより速いほうがいい。

ユーザーの貴重な時間を無駄にせず、必要とする情報を瞬時に提供したいと願う、Googleの思いが込められています。

 

4. ウェブ上の民主主義は機能する。

Google検索が特徴的なのは、サイトのコンテンツの重要性を判断する際に、ユーザーがウェブサイトに張ったリンクを基準としていることです。さまざまなアルゴリズムを駆使して、どのサイトが最高の情報源として支持されているかを分析することで、ウェブ上の民主主義を機能させようという姿勢がここに表れています。

 

5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。

世界は加速度的にモバイル化し、いつでもどこでも必要な情報にアクセスできることが求められています。モバイルサービスの新技術を開発し、新たなソリューションを提供していこうとする、Googleの取り組みを支える言葉になっています。

 

6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。

もちろんGoogleは営利企業として、企業に検索テクノロジーを提供したり、有料広告を掲載することで収益を得ています。しかし、広告主だけでなく、すべてのユーザーの満足度を高めるために、広告プログラムとその実践について次のような基本理念を掲げています。

①検索結果ページには、その内容と関連性のない広告の掲載は認めません。

②ポップアップ広告は邪魔になってユーザーが見たいコンテンツを自由に見られないので、許可していません。

③Google が掲載する広告には、スポンサーによる広告リンク(スポンサーリンク)であることを必ず明記しているため、検索結果の完全性が損なわれません。

短期的な収益を目指して、Googleの客観性を信頼するユーザーの期待を裏切らないための言葉でもあるのです。

 

7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。

ウェブサイトだけではなく、ニュース アーカイブ、特許、学術誌、数十億枚の画像や数百万冊の書籍など、世界中のあらゆる情報をユーザーに提供するために開発を続けていく、Googleの研究者たちの思いが込められた言葉です。

 

8. 情報のニーズはすべての国境を越える。

Googleは全世界のユーザーにすべての言語で情報へのアクセスを提供することを目標として、60以上の国にオフィスを構え、130を超える言語で利用できるようになっています。自分の知らない言語で書かれたコンテンツも読むことができる、さまざまなツールやサービスで、多様性と品質を向上させていこうとするGoogleの姿勢が表れています。

 

9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。

Googleの共同創設者は、「仕事は挑戦に満ちていなければいけない、挑戦は楽しくなければいけない」という思いで会社を立ち上げました。適切な企業文化がある方が、創造性のある優秀な成果が上がりやすくなると考えたわけです。この後のセクションでもご説明しますが、ここで言う企業文化とは、チームで目標を達成することや、個人の業績に対する誇りが会社全体の成功につながるということを意味しています。

 

10. 「すばらしい」では足りない。

Googleにとって一番であることはゴールではなく、出発点に過ぎず、まだ達成できないと分かっていることを目標に設定することで、ユーザーの期待を上回るサービスを提供しようという思いが込められています。



 

Googleは、この「10 の事実」を会社設立から数年後に定めています。また、このリストを常に見直し、事実に変わりがないかどうかを確認し続けています。

 

Googleのカルチャー

CEOであるサンダー・ピチャイ氏は、従業員宛の公式メールで、「当社には時代を超越した使命、永続的な価値観、そして毎日仕事に来るのが楽しくなるコラボレーションと探求の文化があります」と述べています。その企業文化はどのようにして成り立っているのか、ここではさらに掘り下げていきます。

社員は家族

2021年、GoogleはGlassdoor(現在および元従業員が匿名で企業をレビューするアメリカのWebサイト)で「最も働きやすい職場」として6位にランクインしました。また、「Best Global Cultural 2021」「Best Places to work in Los Angeles 2021」など、働く環境に関する9つの賞を受賞しています。また、従業員の80%が自分の職場を肯定的に評価しています。

このような結果をもたらしているのが、「従業員はファミリーの不可欠な一員」だと考えるGoogleの企業文化です。Googleは「Uncomfortably exciting(うずうずするくらいエキサイティング)」という考えを推進しており、すべての従業員に浸透しています。

また、可能な限りすべての情報を従業員と共有して、プロセスの透明性を維持しようとしており、Googlegeist(グーグルガイスト)と呼ばれる、全社員が企業文化、報酬、上司、ワークライフ バランス、キャリアの機会などを評価する年に一度の調査を行っています。人事部が主導するこのアンケートは、毎年9割近くの回答率を誇っています。

このような試みを通じて、Googleの文化は健全な職場環境の代表例として挙げられるようになったわけです。

 

イノベーション

Googleはイノベーションのために「Think 10x」というルールを掲げています。これは「製品を10%ではなく、10 倍改善する」というルールです。また「ソフトオープニング」アプローチをいう手法を通じて新しいサービスに関するユーザーのフィードバックを収集し、製品の改善に役立てています。

こうした企業文化が根付いた結果、Googleは創業以来、YouTube、Google マップ、Google ドライブ、Gmail、Googleフォトなど、さまざまな革新的サービスを立ち上げ、発展してきたわけです。Googleで唯一不変のものは、革新と進化なのです。

 

職場を楽しく

従業員が長時間楽しく働ける職場を作るのは至難の業です。Googleは現在「Googleplex(グーグルプレックス)」と呼ばれる本社で稼働していますが、そこにはジムやスイミング プール、仮眠ポッド、さらにはマイクロキッチンや無料のランチとディナーまで提供しています。

従業員を退屈なデスク環境、無機質な会議室、フォーマルな企業環境から解放するために、革新的で楽しい職場環境を作り出すことに成功し、 これによりチームの効率が向上し、従業員の生産性が向上したわけです。

 

フレキシビリティ

Googleは約140,000人の従業員と50カ国、70を超えるオフィスを擁しています(2021年)が、最近では3日間をオフィスで過ごし、2日間を最適な場所で過ごす、ハイブリッドな働き方を取り入れています。柔軟なスケジュールにより、従業員が創造的なアイデアを探求し、好ましい環境で自由に働くことができるようになったわけです。

これも「最終的に会社を素晴らしいものにするのは人だ」というGoogleの企業文化を示す、1つの例だと言えます。

 

心理的安全性

従業員に企業文化を浸透させるうえで大切になるものが「心理的安全性」です。これは「対人関係においてリスクのある行動をしても安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」です。

Googleのリサーチチームによると、心理的安全性の高いチームのメンバーは離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が2倍多いという特徴がありました。

チームの心理的安全性を高めるには、以下のことを心がけましょう。

1. 積極的な姿勢を示す

目の前の会話に集中する、チームメンバーから学ぼうという意欲を持って質問をする、対話的なコミュニケーションを心がける、会話の当事者として積極的に話を聞くことが必要です。

2. 理解していることを示す

理解が一致していることを確認するために相手の発言内容を要約する、話の内容を理解したことを言葉で示す、会話中や会議では、話を聞いていることを示すためにうなずくことが含まれます。

3. 対人関係において相手を受け入れる姿勢を示す

チームメンバーのために時間を割き友好的な態度を示す、チームメンバーの貢献に対して感謝の意を示す、相手に対して開かれた姿勢を取る、チームメンバーと親密な関係を築くなどが挙げられます。

4. 意思決定において相手を受け入れる姿勢を示す

チームメンバーに意見やフィードバックを求める、人の話を妨げない、意思決定の背後にある根拠を説明する、他のチームメンバーの貢献を認めることが必要です。

5. 強情にならない範囲で自信や信念を持つ

チーム ディスカッションをコントロールする、チームをサポートする、チームを代表して行動する、反論したり異論を唱えるようチームメンバーに促す、リスクを取るようチームメンバーに促し、自分の仕事でも実践してみせることが挙げられます。

心理的安全性の詳細はこちらにも載せております。

心理的安全性を高める方法(測定方法付き)

 

ミッションとカルチャーによって会社を成長させる

ここまでGoogleの企業理念や企業文化を見てきましたが、「実際にうちの会社に取り入れるのは難しいな」と感じたものもあるかもしれません。しかし、ミッションやビジョンを明確に言語化し、行動指針を定めれば、時間はかかるかもしれませんが、おのずと企業文化は醸成されていくものです。ただち、それをスピーディーかつスムーズにするためにはチーム(企業)の心理的安全性を高めることが必要となります。

私たちは、中小・成長企業の皆さまが企業理念を言語化し、企業文化を根付かせて成長させるための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下の仕組み化ガイドブックから始めてみてください。



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