「民のかまど」(仁徳天皇)から考える社長の在り方



清水直樹
聖帝(ひじりのみかど)とも言われる仁徳天皇(にんとくてんのう)の「民のかまど」についてご紹介します。会社を率いる経営者にとって、非常に参考になる逸話かと思います。

「民のかまど」のあらすじ

民のかまど

仁徳天皇は、日本の古代に存在した天皇の一人で、推定在位年代は4世紀後半から5世紀前半とされています。仁徳天皇の治世において、ある時、彼は高い山に登って民の暮らしを見渡したところ、炊煙が立ち上っていない人家を見つけました。

これに対して、仁徳天皇は、この地域には水が少なく、災害や飢饉に見舞われていることが原因で、人々が食べるものを十分に得られないために、炊煙が立ち上がっていないのだろうと推測しました。そこで、彼は租税を免除して、民の負担を軽減し、生活が豊かになるまでお金を徴収しないことを約束しました。また、宮殿の屋根の茅さえも葺き替えなかったと伝えられています。

仁徳天皇のこのような態度は、彼が人々を思いやる心豊かな人物であったことを示しています。また、彼が国家を治める上で、民衆の生活状況を把握し、それに合わせた政策を打ち出すことが重要であることを示しています。このエピソードは、日本の伝統文化の中で、指導者が人々を思いやり、民の生活状況を把握し、それに合わせた政策を打ち出すことが重要であるという理念を示すものとして、多くの人々に語り継がれています。

その後、仁徳天皇を偲んで詠われた以下の詩も有名です。

高き屋に登りて見れば煙立つ民のかまどはにぎはひにけり 『新古今集』

 

仁徳天皇とは

仁徳天皇(在位: 仁徳天皇元年1月3日 – 同87年1月16日)は、日本の第16代天皇で、『日本書紀』での名は大鷦鷯天皇です。

仁徳天皇は、人々から深い尊敬を集め、その治世は「仁徳の徳治時代」と呼ばれています。徳治思想は、後の天皇家にも引き継がれ、日本国を統治していきました。

 

民のかまどの意義

まず、逸話が表す日本人の価値観として「倹約」と「仁愛」が挙げられます。仁徳天皇は、民の生活が豊かになるまで宮殿の屋根の茅さえ葺き替えず、自らも倹約を心がけたことが「民のかまど」の逸話から伝わっています。また、租税を免除するなどの政策によって、仁愛に基づく統治を行ったこともこの逸話から読み取れます。このような価値観は、日本人の精神文化の中で古くから重要視されてきたものであり、現代においても広く共有されています。

 

民のかまどの文化的背景

また、逸話が表す文化的背景として、日本の農耕文化や家族制度が挙げられます。逸話は、仁徳天皇が山中に登り、民の暮らしを見ていたというエピソードから始まります。この背景には、日本の農耕文化に根ざした姿勢があると考えられます。日本の農耕文化では、豊かな自然を大切にし、季節や天候に合わせた農作業を行うことが求められてきました。このような姿勢から、仁徳天皇が民の生活に目を向け、仁愛に基づく政策を行ったと考えられます。

逸話には家族制度に関するエピソードも含まれています。逸話に登場する「かまど」は、家族が共同で利用するものであり、家族の絆が表れたものとされています。このように、日本においては家族の絆が重視されてきました。家族の一員としての役割や責任、そして家族全体の幸せを大切にするという文化的背景から、仁徳天皇が民の生活に目を向けたことも理解できます。

以上のように、「民のかまど」の逸話が伝える意義や文化的背景は、日本人の価値観や精神文化に深く根ざしたものであることが分かります。

「民のかまど」から経営者が得るべき教訓

「民のかまど」から経営者はリーダーとしての教訓を得ることが出来ます。以下にいくつか挙げてみましょう。

思いやり

経営者は社員の幸せを追求し、社員の生活状況を把握し、それに合わせた経営を行うことが重要です。また、経営者は社員に対して適切な報酬や待遇を提供することで、社員が仕事に打ち込める環境を整えることが必要です。

仁徳天皇は、社員の負担を軽減するために、租税を免除しました。経営者も同様に、社員が抱える悩みや問題に共感し、解決策を探ることが必要です。

経営者は自らの利益を優先させない

経営者は自己犠牲を厭わず、リーダーシップを発揮することが重要です。仁徳天皇は、宮殿の屋根の修繕を諦めるなど、自己犠牲を厭わず、人々のために行動しました。経営者も同様に、自らの利益をおさえてでも、社員のために行動することが必要です。

他人の幸せ=自分の幸せ

民のかまどから得られる最大の教訓は、「民の幸せが朕の幸せである」という考え方でしょう。これは現在の皇室にも伝承されている非常に重要な思想かと思います。

経営者に置き換えれば、「社員の幸せが経営者の幸せである」ということになります。これは仏教用語でいえば、自利利他円満ということになるでしょう。

経営者として、リーダーとして、この境涯に達することがひとつの目標と言えるのではないでしょうか。

幸せな社員は、やる気やエネルギーにあふれ、創造的なアイデアや効率的な仕事のやり方を見つけることができます。また、満足している社員は、長期的に企業にとって貴重な資産となります。彼らは、企業に忠誠心を持ち、働く環境や待遇が良いために、他の企業に移ることを避けるようになるからです。

自利利他円満について以下に詳しく解説しています。

自利利他(円満)とは?意味からビジネスでの実践まで解説。

 

以上、民のかまどについてご紹介しました。

ぜひ経営者としての在り方を考える参考にされてください。



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