「民族滅亡の三原則」を知れば、会社が滅びる原因がわかる。



清水直樹
「民族滅亡の三原則」とは、アーノルド・J・トインビーが提唱した(異説有)とされる原則です。これを会社にそのまま当てはめると、滅びる会社と永続する会社の違いが見えてきます。

 

「民族滅亡の三原則」とは?

「民族滅亡の三原則」とは以下の3つです。

一、理想や理念を失った民族
一、すべての価値をお金や物質で捉え、心の価値を見失った民族
一、自国の歴史を忘れた民族

アーノルド・J・トインビーとは?

「民族滅亡の三原則」の提唱者と言われているトインビーとはどんな人物なのでしょうか。

トインビーは、イギリスの歴史家・歴史哲学者(1889年4月14日 – 1975年10月22日)であり、主な著書は、『歴史の研究』です。

wikipediaによれば、

アメリカ国内だけでも、1955年までに10巻セットが7千セット以上販売された。しかし、学者を含めた多くの人々は、1947年に出版されたD・C・サマヴェル(英語版)による最初の6巻を1巻にまとめた要約本に頼っていた。この要約本は、アメリカで30万部以上売れたという。

とのことです。

また、

トインビーによれば、一つの文明は、エリート指導者から構成された創造的な少数のリーダーシップの下で、外部からの挑戦に、的確に対応することにより、興隆する。

とあります。

竹田恒泰氏のHPにもトインビーの言葉が引用されています。

「十二、十三才くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」

ただし、トインビーが、「民族滅亡の三原則」を明言した、という記録はないようです。のちに誰かが様々な著作から見出した原則かもしれません。

中條高徳が実際の提唱者?

「民族滅亡の三原則」は、実は中條高徳氏が提唱したものだという説もあるようです。中條高徳氏は、アサヒビールがキリンビールを大逆転したときの立役者であり、後に副社長やアサヒビール飲料会長を歴任されました。

2010年5月29日の日本論語研究会の講演で中條氏が以下の通り「民族滅亡の三原則」を語ったという記録があります。トインビーの著作かには、「民族滅亡の三原則」が明言されていませんので、こっちが正しいかもしれません。

  1. 理想を失った民族は滅びる。
  2. 全てを物の価値に捉えて、心の価値や豊かさを忘れた民族は滅びる。
  3. そして、自国の歴史を忘れた民族は滅びる。

 

「民族滅亡の三原則」を会社に当てはめると?

さて、本ブログは、主に会社経営者向けに書いておりますので、「民族滅亡の三原則」を会社に当てはめて考えてみたいと思います。

原則①理想や理念を失ったは会社は滅びる

これは会社としての理念、夢、ビジョンなどのことですね。それらを失った会社は滅びる、と解釈できます。

理念が大事、というのは経営者であればだれでも聞いたことがあると思いますが、実際に、理念を真剣に考え、文書化し、日々の仕事で指針としている会社はかなり少ないと思います。

実は私の師匠のマイケルE.ガーバー氏も、起業家として最初に取り組むべきことは、夢の発見であると説いています。ちなみに、その次に取り組むべきことは、「ビジョン」「ストーリー」「ミッション(計画や戦略)」です。

以下、参考記事:

経営理念の作り方、考え方。

ガーバー氏は、世界7万社を指導する中で、経営者が夢に奮い立っていないことこそ、会社の成長が滞る最大の原因であると言っています。会社の成長が滞るということは、世の中の相対的に見れば衰退しているということになります。したがって、そのままの状態が続けば、会社は滅亡の道をたどるというわけです。

 

原則②すべての価値をお金や物質で捉え、心の価値を見失った会社

これは売上、利益一辺倒主義で、そこで働く人々の人間関係や心の繋がり、働く意義や目的を失った会社、と考えることが出来ます。私たちは、素晴らしい会社を創るためには、理念×仕組みが必要だと考えています。理念は先ほど申し上げたとおり、夢やビジョンのことです。一方の仕組みとは、会社の様々な業務を一貫して、安定した成果を出すように行うことを指します。理念が欠けた仕組みは機械的になり、まさにここで言っている「すべての価値をお金や物質で捉える会社」になりがちです。



一方で、理念があっても、仕組みが欠けていれば、理念は単なる掛け声、精神論で終わります。そのため、理念と仕組みを高次元で融合させることが大切なのです。

理念が無ければ、心の価値は生まれ得ません。

 

原則③自社の歴史を忘れた会社は滅びる。

自社の歴史、これは創業ストーリーのことです。言い換えると、”初心”を忘れない、と言うことだと思います。会社の場合、その歴史をストーリーとして語り継ぐことで、初心を忘れないことが大切です。先ほど挙げた通り、マイケルE.ガーバー氏は、起業家の役割として、「夢」「ビジョン」「ストーリー」「ミッション(計画や戦略)」を明確にすることだと挙げています。経営者としては、数ある能力が必要だと思いますが、中でもストーリーを非常に重要なものとして挙げているのです。

以下、参考記事:

普通の人がすごい会社を創るには?マイケルE.ガーバー著「あなたの中の起業家を呼び起こせ!」の解説

 

ストーリーを語り継ぐ方法は、ヒーローズジャーニーとして知られています。数多くの映画や小説などでも活用されているフォーマットです。これを参考に、自社の歴史を語り継ぐことことがお勧めです。

まとめ「民族滅亡の三原則」を逆に考える

以上、「民族滅亡の三原則」についてみてきました。復習しますと、

  1. 理想や理念を失った民族
  2. すべての価値をお金や物質で捉え、心の価値を見失った民族
  3. 自国の歴史を忘れた民族

の三原則ですが、これを逆に考えて、永続する会社の原則を導き出せば、

  1. 理想や理念を掲げ続けること
  2. そこで働人々の心の価値(人間性、人間関係、生きる意味、働く意味等)を大切にすること
  3. 創業の物語を語り継ぐ仕組みを創ること

と言えるでしょう。

ぜひご参考にされてください。

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