家族経営の会社がうまく行く方法をメリット&デメリットから解説



清水直樹
今日は、家族経営の社長や次期社長向けに、家族経営がうまく行く方法をご紹介していきます。何かと週刊誌のネタになりがちな家族経営ですが、その強みを活かせば非常に強固な経営が可能になります。

 

日本は伝統的に家族経営の会社が多いとされています。家族経営に正確な定義はありませんが、一般的には「実質的に、創業一族が経営権を握っている」会社を家族経営と呼んでいます。代表的なのはトヨタですが、上場、非上場限らず多数の会社が家族経営に当てはまります。

そんな家族経営ですが、週刊誌のネタにされることもしばしばです。家族経営はそもそも母数が多いので、ネタにされやすいこともありますし、”経営”の話となると一般の人には理解しにくいですが、”家族”の話になると誰でも身に覚えがあったり、それなりに意見を持っていることが多いので、ネタとして取り上げられやすいのでしょう。

また、家族経営は、そこで働く社員や求職者からもあまり評判がよろしくないようです。それは公私混同や社長の独裁、家族の優遇など、家族経営の悪い面が表面上に出てしまっているからです。

一方、家族経営にはメリットもあります。

本記事では、家族経営のメリット、デメリットをまとめたうえで、どうすれば家族経営がうまく行くのかをご紹介していきます。

 

目次

家族経営のメリット

まず、意外と知られていない家族経営のメリットをご紹介していきます。

家訓や理念の共有によって、永続性が高くなる

何代も続いている家族経営の会社では、歴代の社長が経験してきたことを基にした、”教訓”が残っていることが多いです。それらは”家訓”や”経営理念”として明文化されています。これらの教訓は、”過去にこうしたら失敗した”という失敗事例集であることが多く、現役社長にとっては非常に大切な経営指針となります。

また、家族経営の会社では、経営陣、幹部が家族、または親類縁者であることが多く、そういった教訓が共有されやすい状態にあります。これは非家族経営にはない特徴であり、大きなメリットと言えます。

 

経営陣のコミットメントが高く、安定性がある

家族経営においては、社長職が代々家族で引き継がれるのが主流です。会社を継いだ社長は、会社を潰してはならない、という意識が高い傾向にあります。会社の繁栄=家族の繁栄となるからです。一方、非家族のサラリーマン社長の場合、経営がうまくいかなくなれば解任されますが、本人は他社に転職すれば、普通に働いていくことが出来ます。そのため、一族の社長ほど、”この会社を潰してはならない”という意識が高くない傾向があるとされています。

さらに社長を支える幹部も家族の場合、彼らのコミットメントは高くなります。

こういった、経営陣の経営に対するコミットメントの高さは、当然ながら会社の永続性や成長性に大きく影響を与えます。これはそこで働く社員にとっても良いことと言えるでしょう。

 

大家族主義(クランコントロール)で働きやすい

世間的には、「家族経営=社員にとっては悪い環境」というイメージがありますが、うまく行っている家族経営の会社の場合、社員にとっては非常に働きやすい環境が作られていることが多いです。

その要因となっているのは、大家族主義です。家族である経営陣が、”社員もみな家族”という気持ちで経営していることを指します。英語では、クラン(仲間・家族)コントロールという言葉があります。これは、社員に厳しいルールや規律を課してコントロールするのではなく、”仲間意識”によってつながり、協力しながら働こう、という考え方です。

大家族主義の会社では、社員を大事にする傾向にあり、離職率が低く、何代にもわたって、その家族経営の会社で働いている、という社員もいたりします。

 

強いブランド力

会社は、10年以内に9割が倒産すると言われています。それだけ、顧客を獲得し、維持しつつのは難しいわけです。そんな中、家族経営で続いている会社は、その顧客とも長年にわたって付き合いのあるケースも多いです。その事実だけをとっても、家族経営の会社には顧客からの信頼が厚く、ブランド力があると考えられます。日本だけではなく、海外に目を向ければ、フェラーリ、プラダなど有名ブランドの多くが家族経営だったりします。

長期志向による持続的な競争優位性

うまく行っている家族経営の会社では、非常に長期的な視点で経営が行われています。非家族経営の会社であっても、長期志向の会社はありますが、家族経営の場合には、その傾向がさらに強いと言えます。これはオーナーや経営者が、自分の代だけではなく、自分の次、さらには次の次の世代の家族が現役になったときにも繁栄している会社を創りたいという想いを持っているからです。長期志向の会社は、業績にプラスの影響があることがわかっています。マッキンゼーの調査によると、長期志向と判断された企業は、そうでない企業に比べ、2001~2014年に累積平均で売上高は47%、利益は36%高い伸び率を示しているとのことです。

家族経営のデメリット

一方、家族経営では、会社の所有と経営、そして家族関係が複雑に絡まっており、様々なトラブルが起こりやすい状況とも言えます。以下に家族経営のデメリットを見てみましょう。

公私混同しがち

これは一般的にみなさんが持っている家族経営の悪いイメージによく当てはまる項目です。家族による長期に渡るワンマン体制や公私混同、世間のルールの無視や社長が会社経営を真剣に行わない、などといった例が挙げられます。

ガバナンスが欠如しがち

ガバナンスとは、企業内の統治機能のことで、法令順守や経営の監視、監督機能によって会社がうまくいくようにする仕組みのことを指します。家族経営の企業では、取締役会の監督機能不全や、トップの誤った判断やワンマン経営の弊害を正す人がいない、また法令遵守意識への欠如などが起こり得ります。

承継時に問題が起きがち

近年の少子化で特に増えているのが、この承継問題でしょう。経営者が高齢化して後継者がいない場合や、承継計画を後回しにした結果、後継者を育てることができなくなってしまうといった後継者不足問題が後を経ちません。また、先代社長と後継社長の価値観の違いや不適格者に継承してしまうといった課題が挙げられます。



家族びいきをしがち

家族への偏った人事や甘い処置、非家族と家族間の不公平さ、親族間の争いが経営に影響を及ぼすといった課題です。家族を優遇したい気持ちはわかりますが、それを繰り返すと非家族社員からの信頼や顧客からの信頼を失いかねません。

ちなみに非家族社員から嫌われる原因については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご参照ください。

家族経営が頭おかしいと思われる理由と対処法

 

社員を使用人扱いしがち

家族経営の会社の中には、稀にですが、家族社員はオーナー的立場であり、非家族社員は家族の”使用人扱い”という会社もあったりします。そのような会社で働く非家族社員は、会社の仕事だけではなく、家族の個人的な用件も手伝わされてしまう、という不満もあります。

また、非家族社員を使用人扱いしている場合、彼らを育てるという考えが無い会社もあります。会社の運営をするのはあくまで家族、非家族社員は、決められた仕事、言われた仕事をやってもらえればいい、という前提があるからです。そのため、指示がないと何も判断できない社員が増え、スピード感が欠如したり、個人の意見が奨励されない文化になってしまったりします。

時代の変化に対応できない会社になりがち

特に会社を継ぐ立場の後継社長は、これまでの伝統を引き継ぐことだけで頭がいっぱいになり、新しいことにチャレンジしない会社になり得ます。過去の成功体験や成功モデルから抜け出せず、市場ニーズの変化を見失ったり、従来のやり方に固執するばかりに時代についていけなくなったり、といったことが起こります。過度のうぬぼれや自己満足が見られ、改革や革新を欠いた内向きな経営に陥る傾向にあります。

組織化に失敗し、ルールや規律が曖昧になりがち

先ほど、家族経営のメリットとして、クランコントロールを上げました。クランコントロールは組織内の摩擦を抑え、生産性の高い会社づくりにつながります。一方、それが行き過ぎると、ルールや規律が曖昧になりすぎ、組織として体を成さない状態になりがちです。このような会社では、家族による個人経営から組織経営に失敗し、小さいままで終わってしまいます。

 

 

家族経営の末路〜失敗事例:西武鉄道

家族経営の課題をよく表している西武鉄道の事例を紹介します。

西武鉄道グループは、1912年に堤康次郎氏によって創業されました。

康次郎氏は「ピストル堤」の異名を持つほど強引なやり方で事業を大きくしていった伝説の実業家で、家庭では5人の女性との間に5男2女の子供を持つ艶福家でした。

そんな康次郎氏の後を継いだのが堤義明氏でした。

彼は1993年にビルゲイツを抑えて世界一の大富豪に選ばれ、その豪華絢爛な生活っぷりが非常に有名でもありました。

しかし、その12年後に西武鉄道株式会社に関する証券取引法違反の疑いで逮捕され、懲役2年6ヶ月、罰金500万円の罪が課されることとなりました。

これによって西武グループの堤家の資本関係は解消され、経営陣も第三者によって引き継がれる結果となったのです。

義明氏は父親同様ワンマン体制で多くの事業を成長させ、見事な経営手腕を見せていたのですが、このような不祥事が起こってしまった背景には、一族の利益だけを考えた利己的なやり方があったのです。

義明氏は「株の多数を買収されたり、乗っ取られないようにせねばならぬ」という父の教えにしたがって、西武鉄道の株式の一部を従業員の名義として実際の保有率を偽って有価証券報告書に記載することで大量の株式を保有しつつ、東京証券取引所の上場廃止基準に触れるのを防いだり、多額のインサイダー取引も行なっていました。

また、西武の流通グループを継いだ母違いの兄・堤清二氏も事業拡大に先走り2兆円もの負債を抱え、バブル崩壊後に経営破綻に陥りました。

家族経営であるがゆえに生じた問題

この事例における西武鉄道の同族経営企業としての問題をまとめると、以下の8つに分類できます。

  1. 一族の利害だけを考えた行動
  2. 会社の私物化、法令遵守意識の欠如
  3. 長年のワンマン経営から管理職、社員が指示待ちの組織となった
  4. 納税意識の低さ
  5. 過去の成功体験から抜け出せない
  6. 従来のやり方への固執
  7. 改革・革新を怠る
  8. 同族、取締役会、執行役員会それぞれの役割が不明確でガバナンスが欠如

このような不祥事の後、西武鉄道にはみずほコーポレート銀行から経営改革委員が派遣され、社長に就任した後藤高志氏が中心となって改革が進められました。

偏った資本関係を外部からの資本注入によって整理し、コンプライアンス体制の見直し・確立を目指して企業倫理委員会を開催、さらにコンプライアンスマニュアルも配布されるようになりました。

こうして西武鉄道グループは堤家の騒動を乗り越え、組織の課題を一つ一つ解決する仕組みを作ることで現在まで順調に経営を続ける事ができているのです。

家族経営がうまく行った事例:ウェグマンズ

一方、社員に愛される家族経営の成功事例として、アメリカのリージョナルスーパーマーケット「ウェグマンズ」を紹介します。

アメリカ東部に77店舗を持つスーパー「ウェグマンズ」は、2005年に「Fortune」誌の全米で働きた会社ランキングでMicrosoftやAppleを抑えてNO.1に輝きました。

ウェグマンズは消費者にも大人気で、アメリカの金融誌「Wall Street Journal」では” 米国だけでなく、世界で1番のスーパーマーケット”と評されているほどです。

そんなウェグマンズは1916年にジョン・ウェグマンズがNYで青果店を開いたところから始まり、現在の会長であるダニー・ウェグマンは3代目で、現在の社長は会長の娘であるコリーン・ウェグマンで4代目に当たります。

ウェグマンズでは社員は家族のように大切にされており、実際に経営理念では、社員と顧客に対して“Everyday You Get Our Best”(我が社は毎日最善を提供します)を掲げ、会社は社員の夢を叶える手助けをするという意味が込められています。

人材育成ももちろんしっかりしており、社員の教育や研修に奨学金を出し、例えばチーズ売り場の担当者をヨーロッパ研修に派遣するなどしているそうです。

また、業界の中では高額な給料や手厚い福利厚生を設け、社員が満足して活き活きと働けるよう努めています。

家族経営がうまく行く秘訣

このようなウェグマンズの経営理念や方針は「社員はわたしの友人です」が口癖だった2代目のロバート・ウェグマン社長に始まり、現社長のコリーンまで引き継がれています。

世代を超えて経営理念が引き継がれやすいのは家族経営の特徴でもあるので、ウェグマンズのように一度良い理念を設け、しっかりと浸透させると、非家族企業よりもずっと長期的に継承されていきます。

さらに、3代目で現会長ののダニー・ウェグマンズは以下の5つの宣言を出しています。

  1. 当社は全ての人の幸せと成功に関心を寄せている。品質の良さは一つの生き方である。
  2. 当社は実施する全てにおいて卓越性を実施する。
  3. 当社は当社が所在する全ての地域社会に貢献する。
  4. 当社は社員を尊重し、その声に耳を傾ける。
  5. 当社は社員が自らの仕事を改善し、顧客や当社のためになる決断を下す権限を与える。

5つの宣言からもわかるように、ウェグマンズは家族・非家族関係なしに社員全員を家族として考えることで、ファミリービジネスの強みを前面にひきだし、皆んなに愛され続ける企業となっています。

家族経営の会社がうまく行く方法

さて、家族経営のメリット、デメリット、失敗事例、成功事例をご紹介しました。では、成功事例のようにうまくいく家族経営の秘訣とは一体なんなのでしょうか。

うまくいく家族経営の秘訣①取締役会の機能化

株式会社の取締役会は、株主の代理人として、経営の執行を監督し、代表取締役の選定を行う機関です。会社が大きくなるにつれ、取締役会をきちんと機能させることが大切になってきます。しかし、家族経営を含むほとんどの中小・成長企業においては、実質、取締役会が機能しておらず、会社の所有権も経営権も代表取締役が握っており、独裁的な支配になっています。結果として、それが上記に述べたような家族経営のデメリットにつながってしまうのです。

社外取締役を設置する

そこで、取締役会をしっかりと機能させるために社外取締役を設置することが有効です。

社外取締役というと大企業だけに当てはまる仕組みのように感じるかもしれませんが、経営の視野が狭くなりがちな家族経営は、外部の視点を取り入れることがとても重要です。

また、家族の事情に深く関わらない社外取締役は社長にも率直な意見を述べることができるため、家族メンバーと社員だけで構成された取締役会よりも、より機能的で現実的な判断を下せる取締役会が出来上がるでしょう。

ここで一つ重要なのが、社外取締役と家族と非家族社員の構成比をなるべく等しくすることです。

社外取締役の数が少なすぎたり、家族が多すぎたりすると、結局は家族の意見のみが尊重される風潮が出来てしまうため、平等な比率でガバナンスを保つようにすると良いでしょう。

うまくいく家族経営の秘訣②明確で透明性の高い身内の関与

上記で紹介したように、縁故びいきや親族内の争いといった規律のない身内の関与は社員の不満を大きく増大させる要因となります。

この問題を解決する糸口となるのが、身内を関与させる明確で透明性の高いプロセス作りです。

例えば、社長の甥っ子がよその会社をクビになり就職に困っているからといって、適切な能力の判断もせず部長ポジションを与えてしまうのは、一般社員だったら納得がいきませんよね?

しかし、もしもそこにしっかりと明記された採用プロセスや査定があり、甥がそのプロセスをクリアした上でそのポジションに付いたとしたらどうでしょうか?

より納得感があるのではないでしょうか。

この時に大切なのが、そのプロセスをしっかりと書類に明記し、会社のルールとして家族および非家族社員に発表しておくことです。

また、このプロセスは従業員だけでなく家族や後継者に会社に関わることの責任の重さなどを教えることに繋がるでしょう。

 

うまくいく家族経営の秘訣③経営理念の策定と共有

ウェグマンズの事例で紹介したように、家族経営では、理念共有が非常に大切です。

社員の混乱を避け、理念に基づく一貫した経営を行うために経営理念やコアバリューを定めてしっかりと社内に共有します。せましょう。

※経営理念やコアバリューの作り方については以下の記事を参照⬇︎

真に持つべき経営理念とは何か?経営理念の作り方の心得

経営(企業)理念を浸透させるには?

コアバリューの意味や事例、作り方まで【完全解説】

経営リーダーが理念を体現する

重要なのは社員全員が理念を共有していることと、経営トップと家族が理念に沿った業務を行う手本となることです。

そうすることで、社員の中で経営者や家族社員への信頼や尊敬が増していくでしょう。

家族の理念=家訓を遺す

家族経営の場合、会社の理念よりも上位概念として、”家訓”が存在します。家訓と言うと古臭いように思えるかもしれませんが、永く続く家族経営では、必ずと言っていいほど、家訓が経営陣の指針となっています。

トヨタにも、トヨタという会社の理念よりも上位概念として、「豊田綱領」が存在しています。豊田綱領とは、豊田佐吉の考え方を、豊田利三郎、豊田喜一郎が中心となって整理し、成文化したものです。

もし先代が遺した家訓があるのであれば、改めてそれを確認すること。もしないのであれば、ぜひ家族で話し合って、会社を後々まで永続させるための”教訓”を家訓として残していきましょう。

 

うまくいく家族経営の秘訣④後継者不在問題、承継問題への対処

多くの家族経営の経営者が承継について悩んでいます。というのも、会社が成長するにつれてステークホルダーの数が増え、ビジネスは複雑化するため、現社長が事業を創業/継いだ時よりも後継者に求められるハードルが上がるためです。

また、事業承継は後継者を選んで社長が交代するだけという単純な話ではありません。社長が代わればガバナンスの仕方や目指すビジョン、組織マネジメントも大きく変わり、大きな混乱を招く可能性があります。

なので、現社長は引き継ぐ前にビジネスが将来どのような方向に進んでいって欲しいのか、組織としてどんな変化が必要なのかといった会社の未来を関係各所と話し合いながらしっかりと承継計画を立てる必要があるのです。

家族経営の承継で良くある失敗

家族経営における事業承継のよくある失敗をいくつか紹介します。

  • 遺言を書かずに死ぬ
  • 家族と会社の幹部に財産継承と事業承継の考えを秘密にしておく
  • 会社の株は子供に継がせると決めつけて、家族や役員と承継計画について全く話し合わない
  • 生命保険に入らない
  • 会社のコントロールを死ぬまで手放さない
  • 今までのマネジメント手法に固執して新しい戦略プランなどを認めない etc.

このような特徴を持つ家族企業では事業承継がうまくいかないことが多々あります。

承継に失敗しないためには、承継を一時的なイベントとして考えるのではなく、重要な会社経営のプロセスの一部としてしっかりとした事業承継プランを作ることがとても大切なのです。

家族経営の事業継承計画の作り方

家族経営の研究が進む海外では、事業承継計画は現社長が引退する10年前くらいから作り始めた方が良いとされています。

早すぎると思うかもしれませんが、家族において継承するものは株や事業の資産といった財的な資本だけでなく、経営に使える個人の能力や経験といった人的資本や、家族内の倫理観や価値観、家族外部とのネットワークといった社会関係的な資本も含まれるので、長期的な計画が必要となります。

事業承継計画には次の4つの準備を考える必要があります。

現経営者の準備

承継計画において一番大切なのが、社長が世代交代の必要性を認識し、いつ引退するかを明言できるかどうかです。

しかし、これが中々難しいのが現状です。

現社長の引退が遅れるばかりに承継がうまくいかずに終わった事例がいくつもあります。

会社の経営や家族の将来に関する不安が社長を引退から遠ざけ、承継計画を先延ばしにしてしまいます。

しかし、人間の機能は年と共に必ず衰えていくので、適切なタイミングを定めて後腐れなく引退する勇気と準備が必要不可欠になります。

また、現社長の多くは、その後会長職になります。ここで大切なのが、会長と後継社長の役割を明確にすることです。これが出来ないと社内は混乱をきたします。これに関連しては、別途記事を書いていますので、合わせてご参照ください。

会長と社長の役割の違いとは?

 

後継者の準備

後継者の育成も継承計画には欠かせません。後継者はまずビジネスの基礎を学ぶために自分のキャリアプランを考えましょう。

後継者自身が必要な知識や経験を積めるようプランを立て、実行することで自己管理能力も身につきます。

キャリアプランのポイントは3つです。

  1. 売上・利益に直結するライン部門とコストセンターであるスタッフ部門の両方を体験すること
  2. 最初は現場を経験し、次にできる部下とできない部下の両方を含めて直属の部下を持つこと
  3. たとえ小さくても部署の損益の責任を持つこと

また、後継者の育成をスムーズに行うためにメンターを付けるのも良いでしょう。

メンターは経験のある非家族社員や社外取締役などがおすすめです。

後継者がビジネス基礎を習得したら、次に部長や子会社の社長などを通じてリーダーシップを育てましょう。

目標・目的の設定とチームビルディング・マネジメントを学び・経験することで経営者としての素質を身に付けることができます。

株主と家族の準備

世代交代には家族の支援が欠かせません。

そして、ファミリーミーティングなどで後継者の選定に関する家族の合意を取ることはとても重要です。

家族全員が認めた後継者である、という事実はその後のビジネスを円滑に勧める上で不可欠な要素です。

また、事業承継の頃には社長だけでなく株主にも世代交代の時期が訪れているでしょう。

ファミリーミーティングなどで家族全員で株の所有について話し合い、兄弟・いとこ集団など、どのような株の分配携帯を取るのかを予め決めておくことが必要です。

ビジネスの準備

承継前の社長の重要な仕事の一つは、自分がいなくても会社が成長していく仕組みを作ることです。

具体的には、社長の普段の業務を仕組み化して社長自身が現場にいなくても会社が回る状態を作っていきます。

このプロセスを”経営の仕組み化”と言います。

 

家族経営は仕組みで経営する

家族経営は、会社の所有権の問題、経営権の問題、そして家族の問題という3つが複雑に絡み合っています。そのため、社長は単純にマネジメントだけを学べばいい、というわけではないのです。ここが難しい点です。

そこで、家族経営の会社はひとつの大きな仕組みとして捉えることが大切です。その大きな仕組みの中に、会社の所有、経営、家族という仕組みが含まれています。これらは互いに影響を与えあっており、所有に関して問題が起これば、経営にも家族にも問題が起こります。逆に、家族の関係性に問題が起これば、所有にも経営にも問題が起こるのです。家族経営のリーダーは、こうした複雑に絡み合う要素のバランスを取り、家族と会社を運営していなかければなりません。ちなみにこの考え方をスリーサークルモデルと呼んでいます。詳しくは別途記事を書いていますので、合わせてご参照ください。

スリーサークル(3円)モデルで家族経営の悩みを解決する方法をご紹介。

家族経営がうまく行く仕組みづくりなら仕組み経営へ

以上、今回は家族経営についてみてきました。なお、私たち仕組み経営では、日頃会社の仕組みづくりをご支援していますが、実は半分以上が家族経営、そして、後継社長からのご相談になっています。ここで述べたような視点をもとに、家族経営がうまく行く仕組みづくりをご支援していますので、詳しくは以下の仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

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